メリットしかないのか?
例えば、ふるさと納税で1万円の寄付をしたとしましょう。
自己負担 2,000円で残りの8,000円部分は所得控除として扱われます。
そして、寄付をした自治体から返礼品をもらうことが出来ます。
それが、ふるさと納税が節税と言われるカラクリです。
寄付金が所得控除として扱われるということは、所得(給与や収入から基礎控除や扶養控除等を引いた額)の残りの部分から引くことが出来るため、来年の税金の額が少なくなるということになります。
しかし、そもそもふるさと納税を行うということは、来年納める分の税金を今年納めているということです。
節税を考える際には「来年の税額が・・・」という点ばかりが先行しますが、少し視野を広げてみると、返礼品をもらうために今年多めに税金を負担しているだけのことであることが分かります。
つまり、3年ほどのスパンで税額だけを検証した場合、税額の金額としてはほとんど変わりはありません。
また、被扶養者が多かったり、住宅取得借入金控除などで控除額が多いためにそもそも非課税になる人が、ふるさと納税をしたとしても意味がありません。
むしろ、通常はもっと安く買えるものを不必要に高い価格で手に入れたということになります。
国や地方公共団体、ふるさと納税サイトなどでは、制度を推奨する立場にあるためか、この点についてはあまり強張していないようです。
もし、生活を切り詰めてまでふるさと納税を行っているというのであれば、特に意味がないのでやめましょう。
通年で節税になるのかきちんと計算し、きちんと検証したうえで利用するようにしてください。
そもそもふるさと納税とは?
「納税」という言葉がついているふるさと納税ですが、実際には、都道府県、市区町村への「寄附」です。
一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税および住民税から控除されます。
ですが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税は、ただ寄附をするだけではなく、いろんなメリットがあります。
先に上げた、所得税と住民税から控除されることに加え、他にもいくつかメリットがありますのでご紹介します。
- お礼品がもらえる
- 寄附先として好きな地域を選べる
- 寄付金の使い道も選べる
- 何か所にでも寄付ができる
- ワンストップ制度
お礼品がもらえる
ふるさと納税の1番の特徴です。選択した地域に寄附をすることで、お礼品をもらうことができます。
地域の特産品・野菜・米・肉・加工品など自治体や金額によってさまざまなものが用意されています。中には寄付金額が所得から控除されることを考えると、非常に高いコスパのものもあります。
寄附先として好きな地域を選べる
居住地・本籍地などに関係なく、あなたの好きな地域に寄付をすることができます。
ふるさと納税はそもそも、地方自治体の様々な活動を応援する仕組みとしてつくられた制度です。
これに対し、各自治体の独自の取組として返礼品が贈られるようになっています。
国の政策とは若干のずれがありますが、ふるさと納税の利用者の大半は欲しい返礼品のある地域に寄付をします。
「旅行で訪れた思い出の地だから」「大切な人の生まれ育った地だから」と言うことで寄付をするのも、乙な利用方法かもしれませんね。
寄付金の使い道も選べる
自治体のかかげている寄附の使い道を選択することができます。
たとえば、旭川市では寄付金の用途をこのように掲載しています。


何か所にでも寄付ができる
寄附をする先は1ヶ所に限られません。
あなたが寄付したい自治体が複数ヶ所あれば、全てに寄付ができます。
ワンストップ制度
ワンストップ特例制度とは、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄付金控除を受けられるという仕組みです。
ふるさと納税先の自治体が、1年間に5つまでであれば、この制度を活用できます。
ワンストップ制度の利用時には「マイナンバーカード」または「個人番号通知カードor住民票(マイナンバー記載)+ その他身元確認書類」が必要となります。
まとめ
ふるさと納税は2017年4月に総務省から各自治体へ、返礼品の相当額が寄付金額の3割を超えないようにとの通達が出ています。
このため、2018年からは各自治体の返礼品相当額はおよそ3割以下となることが予想されます。
先にも述べましたが、ふるさと納税は「納税」と呼ばれていますが実際には、地方自治体に対する寄付です。
そして、所得税法上の寄付金控除の一部に該当し、この寄付金控除は特定寄附金を支出した場合に、所得控除を受けることができるという制度です。
特定寄付金には他にも公益社団法人に対する寄付金や、政治活動に対する寄付金なども含まれます。
国、地方公共団体に対する寄附金(寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除きます。)
公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの
イ 広く一般に募集されること
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること
所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金((1)及び(2)に該当するものを除きます。)
なお、所得税法施行令第217条で定めるものとは、次の法人をいいます(以下「特定公益増進法人」といいます。)。
イ 独立行政法人
ロ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
ハ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
ニ 公益社団法人及び公益財団法人
ホ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
ヘ 社会福祉法人
ト 更生保護法人
特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭
政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの(寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの及び政治資金規正法に違反するものを除きます。)
認定特定非営利法人等(いわゆる認定NPO法人等)に対する寄附金のうち、一定のもの(寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除きます。)
特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度とします。)
引用:タックスアンサー(よくある税の質問)/国税庁
最近、ふるさと納税のCMをテレビなどで頻繁に見かけますが、ふるさと納税をすることによって全ての人に対してメリットがあるわけではありません。
「自分自身はメリットを享受できるのか」という点を、きちんと把握したうえで利用するようにしましょう。