退職願・退職届の違いと書き方【意味するものが違います】

「退職願」と「退職届」は、よく混同して使われますが、実は意味するものがそれぞれ違います。

退職願と退職届の違い

退職願

退職願は、会社に対して退職を願い出るものです。

ニュアンスとしては上司や経営者に「退職させていただきたいと考えているのですが、いかがでしょうか?」とお伺いを立てている状態です。

この場合を合意退職(合意解約)といい、雇用契約の解除を申し出て、相手の承諾を待つことになります。

ですので、経営者や上司が退職について承諾をしない間はその効果が発生しません。

退職届

退職届は、退職の意思表示を一方的に行うものです。

「私はこの会社を○月○日付けで退職します」と、経営者や上司に有無を言わさずに退職を決定することになりますこの場合を任意退職といいます。

この場合を任意退職と言います

一般的には先に述べた退職願の提出が多いのですが、確実に退職をしたいのであれば退職の意思を明確に記載した退職届を提出するのが無難です。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

民法 第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

このように解約の申し入れから2週間が経過することによって、雇用契約は終了します。

つまり、退職願を提出したら上司や経営者が承諾しなくても2週間後には退職になります。

退職届・退職願フォーム

退職願・退職届を出す前に!

退職願・退職届を提出する前に確認してほしいことがあります。

それは「この退職はあなた自身の事情によるものなのか」ということです。

退職届を提出するのは、自らの都合によって退職する場合のみです。

上司
上司

君この仕事向いてないね~!
来月から新しい人入ってくるから今日までで終わりね!あ、ちゃんと退職届持ってきてね~!大人だからわかるよね?

この場合は退職届を提出するべきではありません!

部下
部下

会社として私との雇用契約を解除するということですね?
お言葉ですが、私から退職を申し出ているわけではありませんので、退職届は提出できません

それから今日までということですので、解雇予告手当の支払いはきちんとお願いしますね。

会社側から従業員を辞めさせる場合は「解雇」になります。

自主的に退職した場合と解雇された場合とでは、雇用保険での扱いが異なります。

安易に経営者や上司の言いなりになって、退職届を提出しないように充分注意してください。

退職の申出後は撤回ができない

先述したように、退職願を提出した場合は上司や経営者が承認をするまでは退職が成立していません。

ですので、この間に退職の撤回をすることは可能です。

ですが、それ以外の場合は原則として退職の撤回はできません。

  1. 退職願を提出した後、上司や経営者が承認した
  2. 退職届を提出した

このような場合は、上司や経営者が撤回自体を容認してくれない限り、当初予定した退職日を持って退職となります。

感情に任せて退職届を提出したり、退職願を交渉材料に使うなどの行為はやめましょう。

退職届を出す時期

退職届は会社の就業規則で定められている時期に提出しましょう。

就業規則がない会社の場合でも、1ヶ月前までには提出するようにしてください。

よっぽど急いで辞める事情が有れば2週間前の提出でも足りますが、会社との関係にしこりが残りますのであまりお勧めはしません。

また、退職に伴って引継ぎなどが必要な場合がありますので、退職日はできる限り余裕を持つようにしてださい。

近年の動向

労働基準監督署の窓口に寄せられる労働者からの相談において、これまでは「辞めたくないのに解雇された」という相談の割合が多かったのですが、現在では「会社を辞めたいのに辞めさせてもらえない」という相談が多くなりました。

環境に満足できず退職をしようとしても上司や経営者に引きとめられるケースが増えています。

会社としても顧客や取引先から「社員がコロコロと入れ替わる会社」という企業イメージは持たれたくありませんし、この人手不足の時代に手塩にかけた人材が離れていくのは避けたいのでと当と然言えます。

退職代行サービスという手もあります

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