有給休暇の確認方法と関連する疑問を解消!【重要事項】

有給休暇とは

有給休暇は正式名称を「年次有給休暇」といい、その名のとおり所定の労働日に使用することで、実際に労働をしなくても当日分の給料が発生するという制度です。

「年次」とある通り、最初の入社6ヶ月以降は1年ごとに一定の日数が与えられます。

有給休暇は、入社から6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、法律上当然にその権利が発生します。

つまり、本人の請求会社からの恩恵によって発生するものではないということです。

アルバイトにも有給休暇はある

有給休暇はパートタイマ―やアルバイトにも発生します。

週の所定労働時間が30時間以上または週の所定出勤日数が5日以上の場合は、フルタイム(正社員等)と同様の日数が付与され、週の所定労働時間が30時間未満かつ週の所定出勤日数が5日未満である場合には、比例付与といって週所定出勤日数に応じた有給休暇が付与されます。

比例付与による有給休暇の日数については後ほど解説します。

有給休暇の付与日数

有給休暇の付与日数は、入社から6ヶ月以上継続勤務した場合に10日、以降1年ごとに以下の表の日数が付与されます。

パートなど比例付与による場合は、以下の表の日数が付与されます。

有給休暇の繰越・時効

有給休暇は前年度分が次年度に繰り越されます

ただし、有給休暇の時効は2年とされているため、当年度分の付与時に前々年度分は時効により消滅し、前年度分と当年度分までを保有することができます。

このため、有給休暇の最大保有日数は、6年6ヶ月以降に付与される20日+20日=40日までということになります。

有給休暇残日数の確認方法

在籍年数から付与された日数を算出

先の例で有給休暇の付与のされ方について確認しました。

これにならい、入社から現在までの一覧をつくってみましょう。

これまでに使用した日数を確認

次に、これまで有給休暇を使用したことがあれば、いつ何日使ったかを確認しましょう。

付与された日数と使用した日数、繰り越される日数から計算すると現在残っている日数が算出できます。

ちなみに、病気などにより欠勤をしたときに、通常は欠勤分が引かれて給料が払われるところ、有給休暇に振り替えてひかれずに支給してくれていることがありますので、その日も使用日数としてカウントします。給与明細などで確認をして下さい。

有給休暇を使う

取得時季を指定する

有給休暇は、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。

就業規則などに「取得日の〇日以上前に申請すること」などと書かれていますので、所定の期日までに上司に申請しましょう。

期日を過ぎてしまっていた場合でも、事情を説明しなるべく希望日に取得するように相談してみましょう。

取得時季を変更される可能性はある

従業員が時季指定権を持っているのに対し、会社側は時季変更権を持っています。

使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

年次有給休暇の請求〔労基法39条5項〕

なので、繁忙期で代替人員がいないなどの事情のもとで有給休暇の申請をした場合、「時季をずらしてくれ」と言われる可能性はあります。

ある程度会社の状況に配慮して取得するようにしましょう。

有給休暇に関する疑問点

取得理由は言わなくてもいい

有給休暇の趣旨は、労働者の心身のリフレッシュにあります。

上司や担当者によっては、有給休暇の取得理由を聞いてくることがありますが、取得理由は言わなくても差し支えありません。

「友達の結婚式だから」「知人の法事だから」「旅行に行くから」理由が何であれ、有給休暇の取得を取得理由によって拒否できるものではありません。

病気欠勤による当日の取得は?

会社によっては、所定の出勤日に病気により欠勤した際、後日有給休暇に振り替えてくれることがあります。

しかし、それはあくまでも恩恵的な措置で、本来は有給休暇は事前申請です。

ですので、基本的には事後に申請したとしても欠勤扱いになります。

有給休暇の取得は「本人の時期指定」→「会社の時季変更権」→「取得」の流れになりますので、客観的に「会社の時季変更権」の行使が不可能な場合には、有給休暇の取得を主張しても認められません。

退職届を出したところ「今日でやめろ」と言われた

退職届を出す際、引継期間や有給休暇の取得を見込んで1,2か月ほど先の日付で退職届をつくります。

ところが、退職届を提出したところ「今日でやめろ」といわれた場合、有給休暇はどうなるのでしょうか?

結論から言うと、この場合は有給休暇を使ことはできません。

そもそも、有給休暇は労働義務がある日に対して使用できるものですので、今日で退職した場合、それ以降は雇用関係にないため、労働義務がありません。

そのため、有給休暇を使用する余地がないということになります。

しかし、この場合には別の問題があり、「今日でやめろ」といわれた場合、即時解雇ということになり、解雇予告手当として30日分の支給を受けます。

法改正・取得義務の概要

2019年4月1日から、年10日以上年次有給休暇を付与される者は、毎年、時期を指定して5日取得することが義務とされました。

年間10日なのでほとんどの方が対象になります。

ですので、年間5日以上有給休暇を取得するように心がけましょう。

まとめ

有給休暇の制度をきちんと理解しましょう。

有給休暇は与えられるものではなく自動的に発生するものです。

また、有給休暇を使用するかしないかは本人の意思によりますので、会社側が有給休暇の使用を拒否することはできません。

ただし、有給休暇を使用する際には「就業規則に定められた日までに申請する」「繁忙期を避ける」「同僚と同日に取得しない」などある程度は会社に対して配慮して取得しましょう。

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