新型コロナウィルスの影響で世の中がどのように変わっていくか

昨年末から始まったコロナの蔓延は公衆衛生の面だけでなく世界経済にも大きな打撃を与え、人類がかつて経験したことのない社会構造の変化やモノの価値観に大きな影響を与えています。

当記事では、コロナの影響によって世の中がどのように変わっていくのかを世界経済やビジネスの現場の視点から考えていこうと思います。

コロナ後の世界で変わるもの

コロナ後の世界は大きく3つに整理できます。

一つ目はオンライン化による社会や経済の変化、公衆衛生やソーシャルディスタンスの習慣化です。

二つ目は安全や自由といった基本的な価値観の変化であり、三つ目が世界の経済や国際政治への影響です。

これらは国家体制や貧富の差によっても違いは出てくるものの、コロナの影響により何かしらの「変化」が起こることは間違いありません。

この章では、これら3つの「変化」について考えてみたいと思います。

生活様式の変化

オンライン化は工場から企業、教育、娯楽まであらゆる分野・領域に急速に波及していくことが予想されます。

数年前にはほんの一部でしかおこわれていなかったオンライン会議は、Zoomなどの会議ソフトの普及によって今は当たり前のようにおこなわれています。

今後は5G、6Gなどの通信環境の変化によって、テレワークやオンライン授業は驚異的なスピードで広がり、通勤や通学する人の姿が消え社会の風景は一変するかもしれません。

また巣ごもりと呼ばれる生活様式が定着することで巣ごもり型消費圏が拡大するでしょう。

オンラインゲームや動画、音楽や映画の配信サービスなどの娯楽と食品のデリバリーやアマゾンなどのネットショッピングが成長していくと思われます。

公衆衛生面ではマスクの着用や手指の消毒などに対する意識は高まり、都市部を中心に大きな変化を起こしています。

こうした公衆衛生を含めた生活様式の変化は政府機関のサポートが鍵となり、政府の政策の違いが国際的な差を生むことになりそうです。

安全と自由に対する価値観の変化

コロナの感染拡大によって「安全か自由か」の選択が迫られました。

安全と自由は二律背反するものですが、民主主義国家である日本においては自由やプライバシーの保護を主張する権利があります。

しかしこれらには責任が伴いコロナの影響化では安全優位、プライバシー優位といった単純な構図にはならず、どちらかを優先することはできません。

ヨーロッパを例に取れば、北欧の国々は国民の「自由」を優先し集団感染による押さえ込みを試みました。

逆にフランスでは政府が認めた外出以外には罰金や禁固刑が科せられ、国民の自由は大幅に制限され「安全」が優先されました。

このように世界各国の対応を統一することはまず不可能ですが、人類は軍事的脅威や気候変動といった共通の課題に取り組んできた実績があります。

自由や開かれた国際秩序を維持していくためにも、安全と自由のバランスを取ることが国際政治の役割であり、私たち一人一人に求められているものであるともいえるでしょう。

世界の構図の変化

米国の中国に対す追加関税は世界経済に影響を与え、世界的なサプライチェーンの仕組みが変わりつつあります。

米国は今回のコロナの影響は中国発と断定して対応しており、11月1日に控えた大統領選挙の結果にかかわらず中国への制裁は強まると予想されています。

一方中国側は一党独裁といった「メリット」を活かし、国際基準と基幹ネットワークにおいて主導権を握ろうとしています。

中国が進める「一帯一路」政策テレコムネットワークeコマースキャッシュレス決済を進め、そこから吸い上げたビックデータを使い巨大なデジタルシルクロード経済圏を構築しようとしています。

コロナの広がりが人民のデバイス利用を活発にさせ、個人データの収集においてプラスに働いているようです。

他方、日本や米国といった先進民主主義国家は国民の自由や安全を損わずに、デジタル社会をリードしていかなければならず、その結果コロナ後の世界の構図がどう変化していくのかを今から想定しておく必要があります。

激変する社会環境と求められるビジネスモデルの変化

今年6月にIMF(国際通貨基金)が示した2020年の世界経済の成長率は▲4.9%と予想しており、4月の見通しからさらに1.9ポイント下方修正されました。

新型コロナの影響はしばらく続き、世界経済の回復もゆるやかになると思われ、2021年の世界経済の成長率は5.4%程度になると見込んでいます。

沈滞した世界経済で先行きの見えない中、ビジネスの現場で求められる変化とは何なのでしょうか。

この章では主に飲食業界にフォーカスして考えていきたいと思います。

宅配が進む飲食業界

コロナやテレワークの影響で終日家から出ない、いわゆる「巣ごもり」といわれる人が増加したことで、飲食業界では宅配サービスを積極的に取り入れています。

宅配サービス最大手の出前館が発表した2020年度8月期のアクティブユーザー数は約370万人(前年同期比28%増)、加盟店舗数は約2.4万店(前年同期比25%増)、オーダー数は約2,605万件(前年同期比 25%増)と増加傾向にあります。

一方で接客を伴うスナックバーといった飲食業は苦境に立たされており、業態によって明暗が分かれる結果になりました。

飲食店の減少による社会への影響

飲食店が減り中食や小売の利用が増えることで、人との接触が減りコミュニケーションが難しくなるといった影響も出てきています。

飲食店の減少は客同士のコミュニケーションだけでなくサービス提供者と顧客との接点もなくなってしまい、こうした現象は想像している以上に社会的な人と人との関係に影響を与えます。

コミュニケーションの不足は社会の分断を招きやすく、このままでは不安定なコミュニティーを多く生み出すだろうと懸念されています。

テレワークの移行が加速する

テレワーク(情報通信技術)の影響は社会・企業・就業者の3方向にメリットがあるといわれていますが、一方で人の移動が少なくなったことで飲食業界の業績は悪化しています。

日本フードサービス協会の調べでは、今年4月の飲食店売り上げは前年の4割減となっています。

防疫への意識向上とストレスの増大

日本はコロナ以前からあらゆる場所で清潔な環境が求められてきたこともあり、防疫に対する危機意識が希薄になりがちでした。

それがコロナの影響によって一変し、手洗いも含め手に持つものは全て消毒されるといったかつて経験したことのない事態になっています。

そのため外出時のマスクの着用や、ソーシャルディスタンスの遵守により強いストレスを感じている人も少なくないようです。

マスクを着用していないことを理由に入店を拒否されたといったトラブルも起きており、ヒステリックな社会にならないための正しい知識のインプットが求められるようになっています。

コロナの影響をマクロの視点で考える

コロナの影響は世界構造の変化といったマクロなものから、生活様式の変化といったミクロに考えるものまでと幅広くなっています。

マクロでは米国と中国の対立が深まり、経済や軍事にいたる全ての分野にコロナの影響が出ています。

先日も米国のトランプ大統領が感染を公表し大統領選挙に大きな影響が出ています。

この二国間の覇権争いの結果によって世界の構図は全く違ったものになるだけに、コロナの影響はとてつもなく大きなものになったと言えます。

ビジネス環境の変化と情報リテラシー

本記事で紹介した飲食業界のビジネス変化においては企業の取り組みによって明暗が別れた面があるものの、政府による5Gや6Gといった通信システムの整備を含めたデジタル化への移行の遅れは無視できない要因です。

また、国による情報が不足したことで無用な混乱と社会的分断を招いたことを踏まえ、政府には正確な情報のリリースを求めると共に国民一人一人も高い情報リテラシーを身に着ける重要性を知る機会となりました。

まとめ

コロナの影響はマクロとミクロ両方の視点で考えることが必要であり、マクロ経済では日本やアメリカが空前の金融緩和と財政出動をおこない、その規模は7兆8,000億ドル(約830兆円)に上ったと伝えられています。

これにより両国政府の債務は膨れ上がり、日本の債務残高は250%を突破したことから債務超過や円の暴落を懸念されています。

生活環境面では少子化と高齢化社会、格差の拡大は今以上に深刻化することが予想されており、これらの課題に対してテレワークやeコマースなどのデジタル技術の進化が必要です。

コロナ後の世界で求められるものは科学に基づいたグローバルなコミュニケーション、自由と安全のベストミックス、グローバルな公衆衛生の連携が不可欠となります。

コロナに打ち勝つためには日本が今まで培ってきた公衆衛生の知識、自由と安全を組み合わせた生活様式、高いリテラシーによって社会を強靭化させることが必要不可欠と言えるでしょう。

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