ビジネス心理学【フットインザドア】とは?成功する具体例を交えて解説!

ビジネス心理学の1つ「フットインザドア」とは、小さな要求から大きな要求へと、段階を上げて交渉する心理テクニックです。

電話や訪問によるセールス販売では、特に多くみられる交渉術となりますが、なぜ成功する確率が上がるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。

このページでは、フットインザが成功する理由や、具体的な事例をわかりやすくご紹介しています。

フットインザドアをビジネスの交渉術として活用したい人は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

フットインザドアが成功するのはなぜ?

冒頭でご紹介したとおり、フットインザドアは、段階的要請法を取り入れたテクニックです。

相手に対して最初から大きな要求をすると、断られる可能性が高いですが、あえて承諾してもらえる可能性が高い、小さな要求から始めることで、成功確率がぐんと上がります。

そもそもフットインザドアは、

『セールスマンが玄関のドアの間に足を入れ、話を聞いてもらう時間を確保することで、最終的な狙いを達成する』

このような描写を由来に始まった、ビジネス心理学です。

ドアを開けてもらうといった小さな要求を通すことで、最終目標であるセールスといった大きな目標を達成することにつながるんですね。

人間は、一度要求を受け入れた相手に対し、その後の要求にも応じてしまう傾向があります。

なぜなら、そこには一貫性の原理が働くからです。

一貫性の原理とは

人は、物事を考えたり発言するための知能を備えています。

そして、自分自身で決めた行動や発言に対して、無意識のうちに一貫性を求めます。

この一貫性は、ある意味非常に厄介なもので、「信用されたい」「筋を通したい」といった本能により、一度要求を受け入れた人に対して、断ることに矛盾を感じさせます。

だからこそ、小さな要求を受け入れてもらった後に大きな要求をした場合、最初から大きな要求をした時よりも、承認されるケースが多くなるのです。

わかりやすく例を上げると、お金の貸し借りの際に一貫性の原理が働きます。

電車賃として1,000円貸して欲しい

といった申し出に快く応じた後、

やっぱり駅からタクシーを乗りたいから、3,000円でもいいかな?

といわれると、ほとんどの人が貸してしまいます。

一度要求を受け入れたら、その考えに一貫性が生まれ、受け入れようとする気持ちが前向きに働きます。

では、フットインザドアのテクニックを使って交渉した場合と、何もせずに交渉した場合では、どのくらい成功する確率が変わってくるのでしょうか。

フットインザドアで成功する確率

フットインザドアを使って交渉した実験は、いたるところに存在します。

数多く行われた実験の中で、とてもわかりやすかったのが、石鹸に関するアンケート調査です。

これは、心理学者フリードマンフレイジャーによる実験になります。

電話帳から実験対象となる主婦を選び、電話越しに石鹸に関するアンケート調査を行った後、実際に訪問して、家庭用品調査に協力してもらうというものです。

アンケートに協力してくれた人の過半数は、家庭用品調査にも協力してもらうことに成功しましたが、アンケートを行わずに調査の協力を申し出た場合は、1/4の確率で断られてしまいます。

つまり、「アンケートに協力してもらう → 自宅を訪問させてもらう」といったフットインザドアを使う段階的な要請では、成功確率が高くなることが証明されているのです。

具体的な成功率を数字で表すのは難しいですが、明らかにフットインザドアをテクニックとして使った方が、承認される確率は高くなります。

フットインザドアで成功する具体例

ここからは、実際にフットインザドアを使って成功する具体例を見ていきましょう。

今回ご紹介したいのは、無料サービスを活用したフットインザドアのテクニックです。

無料サービスを活用した訪問販売の事例

最近ではあまり見かけなくなりましたが、以前までよく行われていたのが、牛乳やヨーグルトといった乳製品の宅配です。

突然インターホンを鳴らし、唐突に次のように申し出た場合は、断られる確率が高くなります。

○○乳業ですが、牛乳やヨーグルトの宅配をしませんか?

今の時代、乳製品はスーパー、ドラッグストア、コンビニで簡単に入手できます。

わざわざ宅配で届けてもらわなくても、気軽に購入することができます。

しかし、次のような申し入れを行った場合には、成功する確率がぐんと上がります。

○○乳業ですが、無料のお試しをご用意しています。良かったら、味見をしてみてください

無料で試せるのであれば、多くの人がもらっておこうと思い、ドアを開いてしまうでしょう。

無料で試し、その後、

味はいかがでしたか?良かったら、1ヵ月継続してみてください

といわれれば、無料で試してしまったし、1ヵ月だけなら続けてもいいかなといった気持ちが、生まれます。

さらにこの方法は、無料サービスがあるものなら、どんなものでも成功する可能性があります。

掃除用品や、電子機器のレンタルでも、利用価値のあるものであれば、継続して続けてもらえる可能性が出てくるわけです。

これを考えると、いかに最初の小さな要求を通すのが重要なのかを、わかっていただけるのではないでしょうか。

まとめ

フットインザドアは、ビジネスシーンだけでなく、次のような場面でも成功する確率が高まるテクニックです。

  • 子供に家事を手伝ってもらう
  • 友人に頼み事をする
  • 会社の部下に仕事をサポートしてもらう

一貫性の原理を上手に利用することで、相手が断りにくい状態を作り出せます。

ただし、どんな場面でも100%通用するビジネス心理学というわけではありません。

あくまで、ビジネスの成功確率をアップさせる方法となるので、うまくいかない可能性があることも覚えておきましょう。

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